こんにちは、クロスルートコンサルティングの櫻井洋実です。

DXの相談で、製造業や特定の専門分野に特化した企業にお話を伺うと、しばしばこのような言葉を耳にします。

「ウチの業界は特殊だから、ITツールを導入するのは難しいんだ」

長年培ってきた独自のノウハウや、業界特有の商習慣があることは事実です。しかし、私はいつも、この言葉はDXを諦める言い訳にはならないと考えています。むしろ、その「特殊性」こそ、DXによって他社との差別化を図るための大きな武器になり得るからです。

『特殊だから無理』は本当か?

「特殊だから無理」と感じてしまう背景には、いくつかの理由があります。

  • 既製品のシステムが合わない: 市場に出回っているパッケージシステムでは、自社の複雑な業務フローに対応できない。
  • 導入事例が見つからない: 同業他社の成功事例が少なく、DXのイメージが湧きにくい。
  • 属人化への不安: ベテラン社員の持つノウハウをデジタル化できるかどうかが不安。

これらの不安はもっともなことですが、DXは「既製品をそのまま導入すること」だけではありません。

『特殊』を強みに変えるDXの考え方

DXは、その「特殊性」を強みとして活かすためのプロセスです。

1. 汎用ツールを「カスタム」する 一般的なクラウドツール(SaaS)であっても、API連携やノーコード/ローコード開発ツールを組み合わせることで、自社の特殊な業務フローに合わせてカスタマイズできます。全てをゼロから作る必要はなく、汎用的なツールを賢く組み合わせることで、コストを抑えながら独自のシステムを構築することも可能です。

2. 属人化したノウハウを「会社の財産」にする ベテラン社員が持つ「暗黙知」や「勘」といった特殊なノウハウは、まさに会社の競争力の源泉です。DXの第一歩として、そのノウハウを形式知化し、マニュアルやチェックリスト、データベースとして可視化します。これにより、ノウハウが個人のものではなく、会社の「共有財産」となり、人材育成や品質向上にも繋がります。

3. 「伴走者」を見つける 自社の「特殊性」を客観的に見つめ直し、DXの道筋を描くことは簡単ではありません。だからこそ、第三者の視点を持つコンサルタントの存在が重要になります。私たちは、お客様の業務を深く理解し、その特殊なノウハウを活かせる最適なDX戦略を一緒に見つけ出す「伴走者」です。

最後に

「ウチは特殊だから…」という言葉を「ウチの特殊性をDXで活かそう!」というポジティブな挑戦に変えることができます。

その一歩を踏み出す勇気さえあれば、DXは競合他社との差別化を図り、事業をさらに成長させる大きな武器となります。

DXの最初の一歩に不安を感じている経営者の方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください。