事業を運営するその目的は何か?
あるいは 事業を運営するのに必要となるものは何か?
そして何のためにそれを行うのか?
皆さんはこんなことを考えたことがあるでしょうか?
いろんな「定義」があることでしょう。そしてその「正解」と呼ばれるものも立場や考え方によって幾通りも挙げることができることでしょう。
しかし確実に言えることは「価値」と「報酬」の交換がビジネス(=事業)であり、価値と報酬は等価でなければならないのです。(等価交換の原則)
このような前提に立つと、一定の売上(報酬)をあげていくためには、顧客の満足するもの(価値)を提供することが不可欠であり、マーケティング上も常に意識されているべき事柄だと分かります。
顧客が求めているものを理解しているときは、顧客が「欲しい」というものに応じていけばいいことになります。しかし顧客は本当に自身が欲しいものを表現できているのでしょうか?
当社の普段のコンサルティングでは、この「顧客価値」の追求にとても力と時間を注ぎます。つまり顧客の望むものを明らかにし、その実現に注力していくということです。
得てしてお客様は自身の求めるものを把握できていない場面が散見されるものです。ビジネスプランの策定においても大変重要となる考え方ですので、この点は日を改めて述べてみたいと思いますが、今回のテーマではシステム構築においてお客様(システムのユーザー)自身が、自身の欲するもの(達成されたい状態)を理解していないケースについてご紹介していきたいと思います。
まず、皆さまは「オレゴン大学の実験」(C.アレグザンダ―・他著,西川幸治解説,宮本雅明訳,鹿島出版会) という文書をご存知でしょうか?
大変有名な文書であるため、原著の他、多数の解説や翻訳が存在するようですが、オレゴン大学のサーバーに格納されているイラストはこちらになります。
察しの良い方であれば右下のイラストから何となく言いたいことはご理解いただけるかもしれません。お客様の本当に欲するところは周囲の誰も理解していないという事態を表現しています。
日本ではシステム開発の要件定義が如何に難しいか、ということを説明する時に用いられる場合が多い図(「顧客が本当に必要だったもの」)があり、これは 「Project Cartoon」が「オレゴン大学の実験」をアレンジしたことにはじまっています。
前置きが長くなってしまったので、次回以降に詳細に述べていきたいと思いますが、当コラムではシステム開発という側面だけでなく、事業の本質は顧客の満足を引き出すことにあるということを念頭に置きながら記述したいきたいと思います。